
1.文書管理の
意義・沿革・目的
1.1.文書管理の意義
内部統制やセキュリティとの関連で文書管理が取り沙汰される傾向が散見されますが、文書管理の要諦は、組織的かつ有機的管理から文書管理文化を醸成するものでなければなりません。
私どもは、文書管理文化を醸成するためには知識や理論だけではなく、また、IT技術を駆使したコンピュータ・システムに依存するだけではなく、実務に即した紙文書・電子データのシームレスな統合管理技術に立脚しなければならないと考えます。
1.2.文書管理の沿革
古くはユスティニアヌス帝の法においても記録管理を法制化しています。
フランス(1790)、イギリス(1838)、アメリカ(1934)においても法制化の着眼は公文書の記録管理から始まりました。日本では1971年に公文書館が作られました。
アメリカではフーバー元大統領が尽力し記録管理評議会を組織し、そこに民間スタッフ(コンサルタント、会計事務所等)も加わることからレコード・マネジメントが産業界にも波及するようになりました。
【用語の統一】
記録管理も文書管理も英語の表記では 「Records Management」 となります。すなわち、カタカナで表す「レコード・マネジメント」には、双方のニュアンスが含まれます。ここには当然のことながら、狭義のファイリング・システムも包括されます。
「ここでは、紙に書かれた文書のみならず、ワープロ、DTP、スプレッドシート、メールなどの電子文書も「文書」に包括され「記録」を含むものとします。

1.3.文書管理の目的
1.3.1.経済性
コスト削減には二つの意味があります。一つは、不活性文書に割り当てられたデッドスペースにかかるコスト。もう一つは、散逸している文書を探すのに費やすコスト。これらのコストを同時に軽減することを目的とします。
1.3.2.安全性
安全性にも二つの種類があります。一つは、天変地異があろうとも消失を回避しなければならない文書。もう一つは、個人情報や企業秘密に属する文書。これらは、文書規程を策定するだけでなく、保全状態と情報寿命をいつでも検証し、確認できることを目的とします。
1.3.3.創造性
組織は規模が大きくなるほどに縦割りにならざるを得ません。しかし、同一の企業体として他企業との競争に打ち勝つためには、開発や様々な営業展開をしていかなければ優位に立つことはできません。そのための方策のひとつとして企業内の知的文化を共有し情報の有機的な活用を促進することを目的とします。
1.4.文書管理の現実
1.4.1.ファイリング・バブル
明治21年に71,314あった市町村が平成18年には1,821市町村までに統合されました。昭和44年の段階で924市町村にファイリングシステムが導入されていることが分かっています。つまり、市町村合併は統一ルールによる文書管理を促進したことになります。
1.4.2.その顛末
しかし、この924市町村のうち6割強の団体で文書管理システムの崩壊が生じています。これは団体規模が小さければ小さいほど崩壊の傾向が顕著であります。
1.4.3.その原因
そもそもファイリングシステム自体はアメリカ流の考え方が基底にあり、日本における文書文化を咀嚼していなかったことと、システムを技術にのみ立脚していると勘違いをしたため、維持管理に要する人的コストを軽視したこと、さらに文書の分類方式と収納容量のミスマッチによる混乱などが考えられます。
このことは民間企業においても同様と推測されます。

1.5.文書管理の今後
1.5.1.人的資源
前述したように日本の自治体では3割弱(昭和40年代3,200団体中924団体)になんらかのファイリングシステムが導入され、そのうちの6割が破綻したにもかかわらず業務がつつがなく遂行できた背景は有り余る人的資源を駆使したからに他ならないと推測されます。しかし、現下の社会環境では人的資源を無尽蔵に使える背景は皆無と言えます。
1.5.2.パソコンとネットワーク
昭和と平成で比較すると、コンピュータシステムの価格が革命的に低廉になっていることを文書管理システム普及の要素としてあげることができます。
1.5.3.成果を得るためには
昭和の官民をあげてのファイリングシステム導入ブーム、そしてその崩壊を通じて唯一言えることは、管理する側と使用する側の双方に、文書管理に対する教育が不可欠であるということ。さらに、全てを電子化しようとするのではなく、書籍・冊子など紙媒体と電子データを一元化して管理するシステム構築が得策と確信致します。

2.イノベィティブ・オフィスとは
2.1.イノベィティブ・オフィスとこれまでの文書管理の違い
・文書管理システム維持の基本を「教育」と「監査」に置くこと。
・紙情報・電子情報・ノート、メモの端書も全て同じ次元で管理すること。
・管理対象の全ての単位を「エレメント」とし有機的に再活用できること。
・個々のエレメントにキーワードやコメントが付与できること。
・キーワードやコメントに対して同類のものを自動的に整理統合すること。
・管理レベル(機密性・重要度など)に応じたマーキングが付与できること。
・新規開発などのプロジェクトにおける情報共有を強力に支援すること。
以上のようにイノベィティブ・オフィスは単なる文書管理ではなく、そこから一歩発展させた新しい概念です。
これは、
①ピープルウエア:コンサルティング+トレーニング
②ハードウエア:キャビネット+ワークプレイス
③ソフトウエア:コンピュータ管理システム
の三位一体により実現させます。
2.2.イノベィティブ・オフィスが目指す世界
1.レコード・マネジメントの原理原則を正確に踏襲すること。
2.文書の組織的・階層的管理を推進すること。
3.管理文書(活性・不活性文書)の有機的再利用を活性化すること。
4.紙・電子文書・情報を統合管理すること。
5.オフィス内の知的生産性を文書管理の側面から支援すること。
6.触発と啓発を促進し相乗に充ちたオフィスを創造すること。
7.国際標準化へ対応すること。
8.電子化文書もその管理対象とすること。
9.説明責任とリスク回避に対応すること。
結果として組織的な文書管理文化を再構築するものであります。

2.3.イノベィティブ・オフィスの概要
2.3.1.文書管理構築コンサルティング
■エンドユーザー向け
・社内教育、教育用教材作成、社内文書管理規程・マニュアル作成、
・文書管理システム構築
・文書整理・管理業務の実行、監査業務の実践
2.3.2.コンピュータ支援システムの提供
・文書の個別コード付与、収納文書所在のアドレス設定、
・文書のアドレス登録、キーワード・コメントの付与、検索、
・リテンション(retention: 保持)スケジュールの設定と期日管理
・自動バックアップ、重要ファイルの暗号化
3.発想・啓発支援
・キーワード・コメントに対して関連のありそうな文書を自動検索して表示。
・発想の孵化(incubation)をツールとして支援。

2.4.コンピュータ支援システムの概要
2.4.1.デジタル・アナログの統合管理
紙、メモ、議事録、ワープロ、スプレッドシート、PDF、冊子、CDなどデジタル・アナログに関わらず目的毎に統合的な所在管理ができること。
2.4.2.エレメンタル管理:インキュベート支援
全ての文書、あるいは分類カテゴリをエレメントとし、キーワード・コメントを付与することができるので、検索・再利用において容易に探すことができる。また、思いつくままに関連する事象を辿っていくことができること。
2.4.3.リテンション・スケジュール管理
活性・不活性、あるいは不要 というように文書には保持すべきフェーズが期間と共に推移していく。このタイミングをシステムが的確に管理する。移管ないし廃棄時期が到来した文書に対しアラートを出すことで時機を得た管理を容易にすること。
2.4.4.データ種別管理
個人情報・営業機密情報・重要(事業継続必要)情報など、情報種に応じたマーキングとセキュリティを実装。デジタルデータにおいては、必要に応じて暗号化や生体認証と連動させることも可能なこと。
2.4.5.ログ管理
アクセス状態、ログイン状態、登録状態などのログを管理。アクセス頻度や書き込み頻度など、文書に対する全社的対応を数値的に評価することも可能。ログインに生体認証と連動させることも可能なこと。
2.4.6.セキュリティ管理
・文書の種類によって生体認証と連動させることも可能なこと。
・自動バックアップで二重化することも可能なこと。
・バックアップサーバーを物理的に場所を分離することも可能なこと。
2.5.発想・啓発支援
2.5.1.発想触発支援:インキュベート支援
創造のプロセスでは、発想を温めアイデアを具体的なものへ孵化(インキュベート)させることが必要といわれます。孵化は、単に時間の経過だけでなく感性への刺激や閃きのきっかけが大きな転化に繋がる。職場環境から与えられる感性への刺激もさることながら、社内文書文化から啓示を得られるような仕組みを提供します。
また、自分専用のマイ・ノートに、気になるエレメントを随時登録することでアイデアの資源とする仕組みも提供します。
2.5.2.クリエイティブ・オフィスの実現
創造性に関わるいろいろな理論においても「孵化」「転換」のような、転換工程が大きく関わるとのこと。
感性と創造性に大きな刺激を与える要因としてオフィス(ワークプレース)環境は無視できないことが分かってきています。
アイデアを「孵化」させるためには、ちょっとしたアイデアや発想を随時取り出し可能にした蓄積技術も必要なのです。
さらに、「転換」に大きく関わる五感を刺激するワークプレースの整備も不可欠です。
2.6.期待される効果
2.6.1.コスト低減
・不要文書・情報の占有スペースを有効活用
・共用文書・情報を探す時間の大幅短縮
2.6.2.セキュリティ向上
・情報の私的保有禁止・漏洩等のリスク低減
・営業秘密情報・個人情報等の保有期間等の厳格化
・重要情報の保管・退避計画とレビュー
2.6.3.イノベーション支援
・知識情報の再利用、有効活用によるイノベーション支援
・同種・同類業務におけるノウハウ等の共用

まとめ
文書管理システムとは必要な活性・不活性文書の再利用(簡単に探し当てられること)や、不要となった(文書寿命の尽きた)文書の時機を得た廃棄。そのことから得られるコスト削減効果が第一の主眼となります。
次に、的確に分類・整理された文書管理文化が定着することで、漏出等に対する安全性を確保するのが第二の主眼となります。
同時に、社内の文書資源を効率的に再利用することができ、発想や創造の原資として有効に活用することを第三の主眼とします。
さらには、不要文書をオフィスから排除できることで、働く人々に就業する歓びを刺激するワークプレースを提供することもできます。
事業継続への安全性を文書管理という側面から確保すると同時に、今後ますます激化していく企業間競争において競争優位に立つことを真正面から支援する使命を担っているのがイノベィティブ・オフィス(新文書管理システム)文化の醸成といえます。


